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--いろいろな病気の予防接種があるようですが、必ず受けなければいけないものなのでしょうか?

松村:基本的に予防接種を受ける受けないは個人の選択で行うものです。しかし、万一ウイルスに感染し発病したら、特に子供やお年寄の場合、合併症や命にかかわるほどの重症になったり、後遺症を残すことになるかもしれない病気もあります。また、このような病気に対して予防接種を受けることで発病のリスクを大幅に軽減し、地域へのまん延をくいとめることができるとして、国が積極的に接種を勧めているものがあります。そうした接種を「定期接種」といい、決められた接種期間(年齢)であれば公費補助を得て予防接種が受けられることになっています。インフルエンザは任意接種ですが、平成13年より65歳以上の高齢者は公費補助が受けられるようになりました。

 医療の分野で様々な研究開発が進められてきた中、20世紀に最も進歩したのがワクチンだと言われているんですが、近年のワクチンの安全性は非常に高く、予防効果もはっきりと出ていることから、世界中の多くの国が責任を持って接種を勧めているのです。
 乳幼児をお持ちのお母さんは、接種の時期がくるとお住まいの市町村からポリオや風疹といった予防接種のお知らせが届くのでご存知でしょうが、それらが定期接種ですね。0歳から2歳頃の間に、複数の接種を受けるスケジュールが定められていて戸惑われるお母さんもいるかも知れませんが、乳幼児のうちに十分な免疫ができれば将来の感染症からお子さんを守ることができるのだということを十分ご理解のうえ、きちんと接種を受けることをお勧めします。



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 一方、生命に関わるほどの重い病気なることは少ないものの、集団での伝染力が強かったり、病気の流行状況などによって受けた方が良いとされる病気の予防接種は、「任意接種」として希望者のみ自費で受けることができます。任意接種の場合は、はっきりとした予防効果が定期接種のものに比べると判定するのが難しい、副反応が出る可能性が比較的高い、など問題もあるため、最終決定は個人の判断に委ねられ、費用は自己負担で受けることになっているのです。


--任意接種の場合、受けるかどうか、どのように判断したらいいのでしょうか?

松村:確かに、受けるか受けないかの答えは一様ではないので、悩むところかも知れませんね。。例えば水ぼうそうの場合、伝染力が強くワクチン自体の効果が他のワクチンに比べるとさほど高くないので、接種を受けていても約10%-20%の人が感染してしまいます。もちろん接種しておけば、自然感染した時よりも症状が軽くて済むことは確かなわけですが・・・。その一方で、接種を受けなくても、一生、感染しないで過ぎてしまう人もいるでしょう。インフルエンザのように、かかったとしても多くのひとは一週間くらい休んでいれば回復するような病気もあります。
 ワクチンの成分に敏感に反応しやすいとか、逆に免疫がつきにくいとか、受ける方の体質にもよるでしょうし、とにかく心配だから接種しておきたい、いや健康な状態にワクチンを入れるのは自然じゃないから避けたいなど、受ける側の考え方にもよりますので、本当にケースバイケースなんです。副反応はないですよね?とよく聞かれるのですが、予防接種というものの性質上、まったく副反応のないものはありませんので、そうお答えするしかありません。まずは、予防接種というものの中身についてよく理解していただくことから始まります。
 もしいろいろ考えてもよくわからないとか、判断に迷われた時は、どうぞお気軽にご相談ください。どんなところに不安を感じていらっしゃるのかをうかがって、その接種の効果やリスクはどうなのか、お子さんの体質はどうなのか、などお話させていただき不安を取り除いたり、判断のヒントとなる様々なアドバイスができると思います。けれど、あくまでも最終的に受ける受けないを決断するのはご自身であることに変わりありません。よく「先生の言う通りにします」とおっしゃる方がおられるのですが、医師である私の考えをおしつけるのはあまりよくないことだと私は考えています。ですので、どうぞよくご自分でお考えになって、しっかりとご自分でおきめください。

--必ず「自己責任」で受けるということですね。予防接種を受ける際の何か注意すべき点がありますか?

松村:これはお子さんの予防接種にいらっしゃる際、お母さんへのお願いなのですが・・・。お子さんの洋服は脱がせやすいものを着せてきてください。注射する腕をするりと出せるものがいいですね。手間がかかるとそれだけで泣いてしまうお子さんがいます。お注射はどんな人にとってもいやなものですし、私もできるだけ時間をかけずにしてさしあげたいので、ちょっと気をつけてあげてください。
 また、予防接種を嫌がるお子さんに対して、「デパートにお買い物に行くからね」などとウソを言って連れてこられるお母さんがたまにいらっしゃるんですが、これはいただけません。子供にとってみたら、楽しいところに来るつもりが思いもかけず痛い注射をされるわけですから、精神的ショックが大きすぎます。今日はお注射をしに松村医院に行く、というと「行きたくない」と駄々をこねるかも知れませんが、そこは「なんのために注射をするのか」をよ〜く言ってきかせて連れて来てください。子供は案外よく覚えているもので、中には私の顔を見ただけで泣き出すお子さんもいます。注射する方も、嫌われてしまうのは辛いものなんですよ・・・(苦笑)、くれぐれもよろしくお願いします。
 接種した当日のお風呂や、激しくなければ運動もかまいませんが、接種の後、30分程は、身体に変化がないか気をつけてあげてください。すぐに遊びにいったりしないように・・・。
 それから、予防接種に来られる前に、できれば一度お電話をいただけると助かります。そのワクチンの在庫があるかどうか確認できますし、混雑状況もお伝えできますので・・・。できるだけすいている時間帯で、すんなり受けていただく方がいいと思います。もし風邪が流行っている時など、待合室で風邪がうつるのが心配だという方は、車で来ていただいて、車中でお待ちいただいてもらうようにしています。また、海外へ出張するがどうすればよいか、留学のために英文の予防接種の証明書が必要、などのご相談もよくお受けします。とにかくなんでもご心配なことはどうぞお気軽におたずねください。


(取材日:2003年4月1日)



次回は《研修について》を予定しています。