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【コメント】
わたくし松村真司は、医師という仕事を「病気を治療するだけでなく、人々の健康を、そして健康的な暮らしや生き方をサポートする仕事。」そんなふうにとらえています。日頃、私がどんな思いで患者さんと向き合っているかを知っていただきたいと思いました。
【過去のコラムは、こちら】
●第1回:「松村医院の医療方針
     (プライマリ・ケア)について」

●第2回:「往診・訪問診療について」
●第3回:「予防接種について」
●第4回:「研修について」
●第5回:「コミュニケーションについて」
●第6回:「クオリティ・オブ・ライフ」
◎第7回:「松村医院の建物改築について」
●第8回:「松村医院の建物改築について
      第2弾 新生・松村医院へ」
第7回 松村医院の建物改築について



 多くの方はご承知のように、松村医院は今年の6月より、建て替えのため、仮診療所にて診療を行っています。多少のご不便をお感じの方も多いでしょうが、いましばらくの間ご辛抱ください。一方で、新しくなる松村医院に対して多くの皆さんが期待を寄せてくださっていることも感じます。どんな経緯で建て替えに至ったのか、そのあたりからご紹介しましょう。

--医院を建て替えることになったきっかけをお聞かせいただけますか?

松村:父から医院を引き継いで約5年目。この上野毛の地に密着した医院、アットホームな雰囲気、患者さんとの距離が近くコミュニケーションを大事にする、夜間診療中心であるといった、父の時代のコンセプトを継続してやってきましたが、ここに来て診療のスタイルの幅が広がってきたのを実感していました。

 まあ、世の中全体が高齢化社会になり重ねて少子化ということも関連しているんですが、近年は特に往診の患者さん、ご高齢の患者さんが増えてきたんですね。以前は小さなお子さんを連れた方、お勤めの方、若い方が多く、夜間診療を中心にしていたわけですが、夜間診療で外階段があるという状況は、特にご高齢の方の患者さんにとって危険なこともあるということで、それが建て替えようと思った第一の理由です。

 第二の理由はスペースの問題。以前は医師と看護師の2人でやっていたわけですが、医療事務のためのコンピュータを入れたり、そのための事務を担当する人が増え、また往診患者さんが増えたことでいろいろ処置のための器具を保管する場所が必要になったりと、これまでのスペースだけでは手狭になってきたんです。特に、学生さんや研修生が定期的に来るようになり、その都度、狭いなぁというのが実感されました。それと患者さんが増えてきたので、いずれ医師のスタッフを増やしたいという思いもあり、いよいよこのスペースでは無理だなと…。

 あとは、スリッパに履き替えるのを好まない人が多くなったり、外国人の患者さんなどは靴のまま上がってきてしまうこともあったりして、その点は時代とともに変えた方がいいなと感じたこと。また、感染症の患者さんがいらした時など、待合室と診察室のほかにもう一つスペースが必要だなと感じたこと。建物としては診療所の建物と両親の住居が一緒になってたわけですが、築30年ということで居住スペースの方に、雨漏りやエアコンの効きがよくないとか、いろいろトラブルが生じてきたことも理由にあげられます。それらの問題を解消すべく、これは思いきって建て替えようと決心しました。




--建物を壊す時は、何か心に来るものがありましたか?

松村:僕は10歳から18歳までの8年間暮らしただけなので、建物そのものにはあまり思い入れはなかったんですが、両親はさすがに感慨深いようでした。僕の場合はむしろ、引越しの際の荷物を整理していたら、昔懐かしい中学や高校時代の品物がたくさん出てきましたので、それが懐かしかったですね。例えばボーイスカウトの頃に使った飯ごうやテントとか、学校のバス遠足のために作った歌本とか、自分ではすっかり忘れていたものばかりで、その当時の思い出がよみがえりました。

 興味深かったのは、昭和44年の松村医院開業当初の手書きの書類や古いカルテ、 レントゲン写真が出てきたこと。医院が始まった時の挨拶文の手紙とか、今でも通ってこられる70歳の患者さんで、当時35歳の時の検査結果とか、ちゃんと残ってたんですよ。また当時のカルテを見ると、どんな患者さんが1日何人位の患者さんがいらしてたかがわかります。例えば昭和44年当時、現代とは病気が若干違い、しょうこう熱、赤痢、などの感染症や アタマジラミとか回虫などの寄生虫も珍しくなかった。検査の内容も、当時は血沈棒で血沈を測っていたり、検査の項目も今よりもずっと少ないものでした。それらを見ると、医療がずいぶん進歩したのを実感するし、病気の質も感染症から、高血圧、糖尿病などの慢性疾患にシフトしてきたという印象を受けます。古い資料はなかなか貴重なので、いずれ整理して、旧松村医院のアーカイブとしていずれホームページでご紹介しようと思います。

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